【CORORS①】虹色の扉

   ……パチ パチ パチ


 聞き慣れない音が耳の傍で聞こえる。


 温かい……それに、良い香り。

 シチュー?


 香りに誘われる様に脳が活動始めるも、まだ瞳が開かない。


 人影がこっちに向かってくるのが薄っすら見える。


 「お母さん?」

 「誰がお母さんじゃ、ボケ!」

 「えっ!?」

 
 誰?

 何処かで聞いたことのある様な……?

 それに

 ここ……何処?

 見慣れない天井

 漸く半開きになった瞳で景色を見ることが出来た。

 目の前に、小さな鍋を抱えてやってきたのは――

 ぉ、お、男~~~!?


 起き上がろうとして大変な事に気が付いた。

 温かな毛布はかけられている。

 でも

 その下は一糸纏わぬ姿


 「キャ~! 変態!! 近寄らないで!!」

 「黙れ!! それが命の恩人に向かって言う言葉か!?」

 「……恩人って?」

 「……」

 目の前の男は、そっぽを向いたまま答えない。


 「あら、賑やかね?」


 そう言いながらまた、見知らぬ女性が現れた。

 背が高く細身のナイスバディを引き立てるタンクトップにホッとパンツ姿。

 思わず見入ってしまうほどの端麗な容姿
 
 艶やかな黒髪に素敵な笑顔、キリッとした目鼻立ち。

 美人というのは、こういう人の事を言うのね?



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