【CORORS①】虹色の扉

 「良かったわ、目が覚めたようで。丸二日は眠っていたのよ?」

 「あの……」

 「あら、ごめんなさい、私は千暁(チアキ)。コイツの姉。貴女溺れかけていたのよ? 李樹が見つけなかったら今頃天国ね」 

 「……」


 リキ? この人の事かな?


 千暁さんの言葉によって少しずつ記憶が戻ってくる。


 そういえば、海に来て

 裸足で海に入って……


 そうだ

 大きな波に呑まれて……

 
 あれ?

 私、生きている?

 ってことは……?


 「た、助けて……くれたのですか?」

 「そうだ!!」


 剥れた顔で答えるのは、さっき私を怒鳴りつけた人。


 「ぁ、ありがとう……ございます」

 「フンッ、お前なんか助けるんじゃなかった」

 「……ごめんなさい」

 「これ食っとけ」


 リキと言われた人は、持っていた鍋をテーブルに置き、そのまま外へ飛び出して行ってしまった。
 

 ……どうしよう


 「大丈夫よ、照れているだけだから♪」

 私の心を察したのか? 千暁さんが言葉をかけてくれた。




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