【CORORS①】虹色の扉
ブッ(笑)
この静けさを破ったのは、彼だった。
「俺の勘違いか(笑) でも、良かった♪」
「うん」
彼の屈託のない笑顔を見られたら、私もあのまま海に連れて行かれなかった事を心から感謝した。
「ところで、アンタ名前は?」
「七海です。“七つの海”って書きます。リキさんは……どういう字を書くんですか?」
「別に字なんてどうだっていいよ。 それに、今更“さん”付けもねぇだろ?」
彼は、ブッキラボウにそれだけ答えた。
まぁ、確かにそれもそうだ。
昨日、いきなり「ボケ」って言われた時は、怖い人って想ったけれど、それだけ真剣に想ってくれていたって事だよね?
そもそも、私が“お母さん”と呼び間違えてしまったわけだし
なのに
「変態呼ばわりしやがってさ」
「本当にごめんなさい」
不思議とリキの前では素直になれる。
今まで、蒼空といた時は反発ばかりしていたのが嘘のよう。
きっと恩人だから……だよね?