【CORORS①】虹色の扉
釜戸から漂うご飯の香りがなんとも幸せな気分にさせてくれる。
年上とか、年下とか。
ケンカしたとか、命令口調とか――
どうでもいいかもね?
「よし!! そろそろ頃合いだな?」
「何の?」
「飯。炊けたぞ? 火からおろして」
「どうやるの?」
リキは私に、豆鉄砲をくらった鳩のように目をパチクリしている。
「飯盒……知らねぇの?」
「知ってるけど、もう10何年も昔に林間学校とかいうので使ったくらいだし……」
「お前ってお嬢なんだな?」
「……」
別にお嬢様なんかじゃないんだけど、言い返す言葉が見付からない。
何だかんだ言いながらも指図を出してもらい、私も釜戸からもう一つの飯盒をおろす。
金色と水色が入り交じった海を眺め、簡単に朝食を済ませた。
贅沢な景色ね