【CORORS①】虹色の扉
海の家でウェットスーツに着替え、基礎知識を千暁さんから教わり1時間くらいしたころだろう?
「……来てやったぞ」
えっ!?
突然降って来た声の主はもう聞きなれた――
「リ……キ?」
何で彼がここに?
状況が把握できない。
「あ、やっと来たね」
「あの……?」
「七海ちゃんの専属コーチ。李樹はね、こう見えてもライセンス持っているんだよ」
「こう見えてもは余計だ!!」
「まぁ、そういう事だから安心して受けられるわよ♪ ウフッ(笑)……じゃね」
それだけ言った彼女は、風のように消え去った。
千暁さんの考えがイマイチ読めない。
「始めるぞ」
それだけ言った彼の格好は、何故かパーカーを羽織っただけ
「ねぇ、スーツ着ないの?」
「少しは潜れるようになったのか?」
「えっと……」
リキは腰に手を当て、私を上から下までシミジミ眺める。
「格好から始めるのも良いけどさ、海をナメテかかるなよ!」
あっ……
リキも本物なんだ。
海を愛する海の男の子。
「……うん」