ラヒュタ
 親方は皮を引きちぎる手を止めて耳を澄ませた。足元から、唸り声のようなものが聞こえる。親方が首をひねった次の瞬間、地面が崩落を始めた。口をついて出た、そんな馬鹿な、という言葉はコンクリートが砕ける音にまみれてしまう。どんどん落ちてゆく。パドゥーはすでに気を失っていた。落ちながら、親方も限界が近づいており、薄れ行く意識の中、彼は見た、大勢の男たちを。いつの間にか親方以外にも沢山の男が落下していた。
 落下しながら親方もとうとう気を失い、地面に叩きつけられたショックで目を覚まし、状況を把握しようと努めて徘徊をして、頭蓋に走る強い痛みで再び気を失い、終には臓腑を撒き散らして死んだ。
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