ピエロの恋遊び
そして夜。
篠原龍斗は、ピンポーンと軽快にチャイムを鳴らして我が家に乗り込んできた。
それを迎える母と父は大変嬉しそうで、それとは真逆な気持ちのあたしはなんだか複雑。
早く帰ればいいのに。
「やあやあ龍斗くん、久しぶりだね」
「あっおじさん!お久しぶりっす」
「なんだかずいぶん男前になったんじゃないか?」
「あ、それあたしも思ってたのよ~小さい頃の可愛らしい面影がなくなってるわよねえ」
「はは、どうも。なんか照れる」
ってそんな和んだ会話
しーなーいーで~っ!
「いいから、早く晩ご飯食べようよ」
「なんだ雪菜、そんなに腹が減ってるのか?」
「…まあね」
早く食べてしまって、篠原龍斗に帰っていただきたい。
だから早く!と急かすとお母さんは名残惜しそうにしながら台所へ消えた。
あたしは残された父と篠原龍斗を居間に座らせる。(うちは居間で晩飯を食べるのだ)
「今日はカレーらしいぞ」
「あれ、朝はごちそうって言ってたのになあ…カレー?」
「いいじゃん。カレーうまそ」
「はーい!カレー持ってきたわよ!」
…ま、なんでもいいか。