ピエロの恋遊び
「てめぇ…俺にそんな態度とっていいと思ってんのかよ」
「は?アンタ何様なわけ」
「襲うぞ」
「やってみなさいよ大声で叫んでやるわ」
「口塞ぐ」
「そしたらアンタの大事な股間全力で蹴りつけてやる」
「……てめぇ……っ」
苛つきのあまりか、こめかみあたりをピクピクとさせる篠原龍斗。
いいきみだ。
いつまでもそんなことで負けてるあたしじゃないんだから。
あたしの苦しみ、少しは理解しろっての。
「前も言ったけど…、」
「あ?」
「あたし!アンタのこと大っっ嫌いだから!」
「…!」
手をぐっと握り締めて、ほとんど叫ぶようにして言う。
篠原龍斗は微かに目を見開いた。
「以上。…もう関わらないで、あとついて来ないでよ!」
そう言い捨てて学校に向かって走り出すと、今度はさすがの篠原龍斗も追いかけてくることはなかった。
あたしを甘く見るからだ、ざまーみろ。
これであたしの平和な日常も守られる…。
そうホッと安心しきっていたあたしは。
「いい度胸してんじゃねえか。……見てろよ」
そう言って黒く笑う篠原龍斗の姿も知らず。
これから起こることなんて、分かるはずがなかった。