白雪姫と毒リンゴ
雪が降る
ムックリと保健室のベッドから起き上がる。
不意に視界に入った窓ガラスの外では、白い結晶が降っていた。
「…また雪…。」
呟いて、嫌いじゃないけど、と心の中で付け足す。
ベッドからおりて、ベランダに出ようと思い、反対側を向くと…。
「…亮?」
亮が寝ていた。
うつ伏せになって、大きな背中が規則正しく動いていた。
今、授業中なんだけど。
なんて私が言えた事ではないか。
寝るんなら害にはならないし、良い。
私だって保健室を独占するつもりはない…はず。
ただ、本当に具合が悪い人がここに来ないだけ。
来るのは、ふざけ半分で来る人ばっかり。
だから、亮を無理矢理起こそうなんて考えなかった。