Wink☆

☆放課後

待ち合わせの場所まで

あと少し・・・

あと、もう少し。



階段を駆け下りると、靴箱の陰から

高峰の姿が見えた。

足音で気配に気づいたのか、

高峰がアタシの方に振り向く。

アタシはとっさに階段の影に隠れた。

――バカ。アタシ。

ほんと何してるんだ。



「小雪」

「あ・・・」

「何してるんだよ」

高峰がアタシの顔を覗きこむ。

「え、えっと・・」

「ま、いいや。帰るぞ」

「うん・・・・」

アタシは高峰に手を引かれ、ゆっくりと

立ち上がった。

高峰の背中が遠ざかる。

抱きついてしまいたいほど、大きな背中。

「早くしろ」

「あ、うん」

アタシは少しだけ、高峰の近くに駆け寄る。

長い沈黙。

どうしよう。話題・・・ない。


「小雪」

突然名前を呼ばれ、アタシの心臓が

ドキっと音を立てた。















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