Wink☆
「・・・小雪。ありがとう」

顔は見えないけど、

お母さんの肩は、微かに震えていた。




「小雪と一緒に食べるなんて久しぶりね」

「・・・そう、だね」

夕飯どころか、会話をすることさえ久しぶりだった。

「いつも・・・独りで食べてたの?」

アタシは一番気になっていたことを、

お母さんに問いかける。

「うん。あ、でも寂しくないわよ?

テレビ見て大笑いしてたし。最近は

面白いテレビ多いから」

そう言って、お母さんは笑う。

でも、その笑顔はどこか寂しそうで、

アタシも悲しくなった。

「ごめんね。お母さん」

心配かけてごめんね。

ありがとう。




「食器片付けるよ」

「あら、いいわよ?お母さんやるから。

部屋でゆっくりしなさい」

お母さんの背中は、高峰ほど大きくないけど、

温かくて頼もしい。

「アタシやるよ。たまにはね」

アタシは笑う。

「じゃあ、お願いしようかな」

お母さんはそう言って、エプロンを外した。




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