Wink☆
独り街の中でうずくまった。

誰一人、振り向かない。

誰一人、アタシのことなんて

気にしない。





『小雪』

こんな状況でも、浮かぶのは

あの人の笑顔。

思い出すのは、あの人の声。

思い出したくないなんて

ウソ。

忘れたいなんて・・・

ウソ。


ただ、辛いことから

逃げたかっただけ。


忘れたいわけ・・・ない。

あんなに幸せだった時間を、

忘れたいわけがない。



ぽっかり空いた、自分の左手の

薬指。


もう、何もない。



―――寂しいよ。


「高峰・・・寂しいよ・・・」


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