俺と葉月の四十九日
安田はゆっくりと空を指差した。
つられて俺も空を仰ぐ。

そして、静かな安田の声…。


「タクミくんは、天国へ行った」


…………天国?


…どういう意味?

タクミが?タクミ…アレ?

落ち着け、俺。落ち着いて考えろ。

……駄目だ!まとまらねぇ!!
混乱してる!


おかしいだろ?!
タクミここに居たじゃん!
笑って遊んで…居たじゃねぇか!


存在してた…天国って何だ!!


安田は笑った。

笑いながら、戸惑う俺の前へとしゃがみ込む。


「タクミくんは、私と同じユーレイだよ」
「………――。」


今、何て?


「私には見えてた。あの子、亡くなる前一ヶ月は危篤状態続いてて呼吸器あてて…だから、記憶があやふやだった」


嘘…だろ?


タクミが死んでるなんて。

あいつ…楽しかったって笑ってたじゃねぇか。


「タクミくんは病気で亡くなった。でも友達と埋めたタイムカプセルを、もう一度見たかったんだよ。入院が長くて…淋しかった。だから楽しかった友達との思い出と一緒に逝きたかったんだ」


タクミ……?

死んでた、ユーレイだった。


マジ…なのか?

安田と同じユーレイだって?
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