俺と葉月の四十九日
俺、安田が行ってからも毎日を過ごすんだ。


生きていくんだ。


当たり前の様に安田が居た毎日、そして安田が居ない毎日。
これからも変わらない時間の流れ。

ただ…安田が居ない。


安田の時間は止まったまま。
老いる事はない。
そのかわり、これからの思い出は無い。

タクミと同じなんだ…。

俺、ユーレイの安田が消えちまう時どんな気持ちになるんだろう。
泣くか?それとも笑って元気でなと見送るか?
またなって手を振れるか?

わかんねぇ、今はわかんねぇ。

今は安田が居るから。
ユーレイでも変わらずに、そこに居るから。


わかんねぇよ……。


その時になりゃ何かわかるかな?


「タイムカプセル、どうしようか?」
「あ…そうか」


タクミが見たかったタイムカプセル。

タクミが存在していた証、思い出…。


俺はタクミの手紙を丸めて、飴と共に再び缶に入れて蓋をした。
掘り出した場所、元埋まっていた穴に沈め、土をかける。


「埋めるの?」
「ああ、タイムカプセルだしな」


いつか…いつかタクミの友達が、タクミを思い出す時がくるだろう。
その時に、また掘り当てて欲しい。

友達の手で。
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