俺と葉月の四十九日
海の日
8月2日、晴天。
安田が言うには今日は…。

「海の日!!」

だそうだ。


村上と光とは、海の前にある停留所で待ち合わせをしている。
そして俺と安田は、駅前でブル田を待っていた。

待ち合わせは午前9時15分。
はしゃぐ安田に引きずられ、20分前に到着してしまった。


わかりやすい様に、駅の入口で座ってブル田を待つ。

暑い…。


安田は暑さを感じないらしい。
いいなぁ。


「安田、ビキニ着ないのか?」
「ビキニ?そりゃ着たいよ」


安田はずっと、死んだ時の服のまんまだ。
学校の制服。

海に制服って味気無ぇ。


「着たいなら着ろよ」
「じゃあ圭ちゃん、私の仏前にビキニ置いてくれる?それなら着れるけど」


安田の仏前に?


ちょっと想像してみる。



安田の家ヘ行き、安田の部屋からビキニを探して引きずり出す。
それを仏前に飾る。
線香を上げて、安田が着てくれます様にと手を合わせ祈る俺……。



「変態っぽいな!!」
「でしょ?」

大体そんな俺を、安田の両親は、おじさんとおばさんはどんな目で見るのか?

警察呼ばれそう…近所を歩けなくなる!


絶対に嫌だ!!できねぇ!
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