俺と葉月の四十九日
俺はTシャツの上に着ていたYシャツを脱いでブル田に差し出した。


「ブル田…頼みがある」
「何だ?」
「これを着てくれ」
「断る」


即答かよ!!


俺は、Yシャツを持った手をブル田の顔に押し付けた。


「グダグダ言わずに着ろよ!!」
「そんなの着たら、この子が隠れてしまうだろう?!」

叫びつつ、ブル田は俺から飛びすさり、Tシャツを掴みメイド少女を主張した。


だからソレを隠したいんだよ!


「あとさ!何でお前5本指ソックス履いてビーサンなの?!ビーサンは素足に履くんだよ!!」
「そんなの僕の自由じゃないか!」
「自由に羽ばたかれたら俺らが困るんだよ!!」


気付いてくれよ、頼むから…。
水着で来られた方がマシだと思えるくらいだ。


「お兄ちゃん、三谷さんの言う通りにYシャツを…」
「嫌だね」

…っち!強情な!
何が何でも着てもらうぜ?ブル田!


「安田、出動だ」
「え〜?私ぃ?」
「お前しかいないんだ!」


今、ブル田に言う事を聞かせられる奴は、安田しかいない。

なぜならブル田は、安田が大好きだから。

使える事は使う!


「さて…Tシャツを褒めればいいのかな?」
「褒めてどうする!!」
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