俺と葉月の四十九日
「諦めて一緒に歩きなよ」


この女…自分は周りから見えねぇと思って好き勝手な事を!


「しょうがないなぁ」

安田は渋々立ち上がった。しょうがないはねぇだろ?オイ。


「ブル田ぁ」
「はい!安田サン」

ブル田は嬉しそうに笑った。
ホントにこいつ、安田だと態度違うな。

「圭ちゃんのシャツ、着てみてよ」
「なぜですか?」
「ブル田に似合うと思うから。それにさ、海って太陽の光が強いんだよ?そのメイドさん日焼けしちゃうじゃん?可哀相だよ」


ナイス安田!上手い!


ブル田は悩む様に首を傾げた。
眉をひそめ、小さなため息をつきながらYシャツを手に取る。


「安田サンが言うのなら」


やったぁ!!

ブル田が俺の手からシャツを受け取った。

心の底から感動だ…。

まるで野性動物の餌付けに成功した様な気分だ!

俺とマオちゃんは、目を合わせてホッとした。

Yシャツを着るブル田。
一時はどうなるかと思った。

「ブル田、やっぱり似合う〜」
「それほどでもぉ〜…」

安田のお世辞に、身体をくねらせて照れるブル田。
このくらいは許してやる。
フツウの私服になった事だしな。


…これでやっと出発できる。
< 110 / 267 >

この作品をシェア

pagetop