俺と葉月の四十九日
「いきますよ〜ぅ!安田サァン!」

高々とビーチボールを掲げるブル田。

「よっしゃあ!かかって来い!」

サーブを受ける構えを取る安田。

「そぉれ!」
バシッ!
「とりゃあ!」
バシッ!!
「うわぁ〜っ!」
ズザァァア――!
「やり!6点先取!」

安田のガッツポーズ。

ヨレヨレと砂浜の上に立ち上がるブル田。

「も〜〜〜っ!強すぎですよぅ〜」

そう言ってはいるが、悔しさは微塵も感じられない。むしろ嬉しそうにブル田は笑っている。


浜辺でビニールシートに座りそれを眺めている俺には、フツウに安田とブル田のビーチバレーに見えるが。

「……あいつ…独り言…一人バレー…?」


村上と光にはそう映っているらしい。
当然か、見えてねぇんだもんな。


そう考えると、どことなく他の海水浴客、さりげなくブル田と距離を置いて通りすぎてる気さえする。


「じゃあ安田サン、僕からサーブで…うわぁ?!」
「ワンワンワン!!ガヴ〜!」
「あっち行け!しっしっ!」


通りすがりの犬にまで怪しまれてやがる…。


「一人芝居?ブル田って劇団所属?」

光が呆然とブル田を見つめている。

劇団ね…そういう見方もあるんだ?
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