俺と葉月の四十九日
「海の家のおねぇさんが、たくさんサービスしてくれたのだ。僕の魅力の成せる技と言うヤツだ」


…忘れてた。


こいつは、童顔のかわいい男の子(高校生)。


「かわいいからたくさんあげると言われてな。サービスさせてやった」


させてやったって何だよ。言葉おかしいだろ?
小学生と思われたんじゃね?


「つか、安田は?」
「ヘ?あれ?」


ブル田はようやく気付いた。
慌てて周りを見渡す。

「今まで隣に居たはずだが、どこへ行ったのかな?…安田サ〜ン!」


まるで母親を捜す様に、安田の姿を捜すブル田。
どこかに遊びに行ったのか?
気まぐれだからなぁ。


人混みの中に目を懲らす。

制服だから目立つと思うんだけど。
いや、ユーレイだから影になると見えなくなる?


「安田さん、どこに行ったんでしょうね」

マオちゃんも、きょろきょろと周りを見渡す。


「ブル田、今までここに居たんだよな?安田の奴」
「僕は安田サンを追い掛けて来たんだ」

そうか…。

どこに遊びに行ったんだ。
飽きたら戻ってくるかな?



そんな風に、深く考えなかった俺。




でも安田は、帰る時間になっても戻って来なかった。
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