俺と葉月の四十九日
悪霊
村上と光を見送った後も、俺とブル田とマオちゃんの三人は、帰って来ない安田を待った。


空はもう夕暮れで、海の水平線上はすでに闇色がかっている。
影の薄い月さえ浮かんでいた。

海の家にも電気が付き、後片付けに入っている。


「安田さん、戻って来ませんね」

マオちゃんも心配そうだ。

あいつ、マジでどこまで行ったんだ?
まさか…イカ釣り漁船に乗っちゃったとか?!

好奇心が一人歩きする女だからな。
有り得る。


「そういやブル田は?」

気付くとブル田もいねぇ!何なんだ!


「お兄ちゃんはコンビニに行きました」
「コンビニ?」
「…下着を買いに」
「…はぁ?!」

パンツ?!何で?!

「お兄ちゃん、水着を下に着て来たから下着を忘れたんです。やっぱり気持ち悪いからって買いに行きました」


…馬鹿だ。


しかし、安田マジで戻って来ねぇ。
何やってんだ?
心配して待ってるってのに!

ちょっとイライラしてきた。

「マオちゃんはさ、ユーレイ見えるんだし、そういうのに詳しい?」

私?と、マオちゃんは大きな瞳を瞬きした。

「詳しいって程じゃないです。お兄ちゃん達に比べたら」


お兄ちゃん…達?
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