俺と葉月の四十九日
無いのか?


「他の霊体を取り込む程の霊なら、僕かマオちゃんが気付くはずだ」

そうなんだ。
俺、全然わかんねぇ。


「マオちゃんもわかる?」
「見えるだけです。悪い霊は気配でわかります」


フツウにすごいじゃん。

「安田サンの波動は僕にはわかる。危険があれば気付ける」


へぇ…。
霊媒一家なんだ、ブル田んちって。

そうすると、安田に危険はないって事になるか?


「安田、先に帰ってんのかな」

そんな気がしてきた。

気まぐれだし、ワガママだし、飽きっぽいし、自己中心的だし、人を驚かせるの楽しむし。

浮かぶのそんなんばっかだ。
イイ所あるのか?あいつ。

あるけど、ここまで待たされると腹立つ…。


「帰る」
「帰るのかぁ?!安田サンを置いて!」

ムキになるブル田。

「海にいるとは思えねぇ、俺らだって帰らなきゃいけねぇし」
「この非国民め!」

非国民?!

「安田サン…迷子になってるのかもしれないじゃないか」

うづくまり、指で地面を撫でるブル田。

その行動…何を伝えたいんだ?
迷子って…ブル田じゃあるまいし。

「帰るったら帰るぞ、俺は」
「私も先に帰ってると思います。遅すぎますし」
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