俺と葉月の四十九日
「マオちゃんもそう思う?」
「はい。お兄ちゃん、帰ってみよう?安田さんが帰ってたら、三谷さんに電話もらえばいいよ」


正論だ。
さすがマオちゃん。


かわいい妹の意見だからだろう。
ブル田は渋々立ち上がる。
俺が言っても非国民だったくせに。
いや、別に悔しくないけど。


安田が先に帰ってる事を期待しつつ、俺達は日が暮れた海を後にした。






帰宅して部屋ヘ戻ってみたが、安田の姿は無かった。

飽きたから先に帰ったと、ベッドでマンガを読んでいる安田を想像していた俺。

「どこ行ったんだ…」


何かおかしい。

こんなに長い時間、何も言わずに居なくなった事は無い。

変な胸騒ぎ…不安が急にわきあがってきた。

もしかしたら、自分ちに行ったのか?
たまに覗きに行ってたみたいだし。

だったらいいんだけどな。

何だ…マジで引っ掛かる。

安田が楽しみにしてた海。
先に帰るって無い様な気もする。
しかも突然消えた…。
まさかもう―?!

…いや、四十九日まではまだ期間がある。
ブル田の話では、四十九日前には昇天できないはず。

それに…俺に黙って昇天する訳ねぇ。

俺は安田を信じてる。
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