俺と葉月の四十九日
月の光に照らされた安田の顔。
青白い頬に…涙が流れていくのが見えた。


安田を呼びたかった。


だけど苦しくて…今にも呼吸を失いそうで…。


どうしたんだ、安田?
どうしてこんな事をする?

…お前は俺をどうしたいんだ?!


何が悲しい?なんで泣く?
話せよ…俺が聞いてやる。

安田!!


応えろ!言わなきゃわかんねぇ!!


安田!安田!!

泣くな…泣くなよ!

頼むから泣くな…泣くくらいなら俺に話せよ!!


側に居るだろ!
いつも居るだろ?!


遠退いていく意識の中…安田の俺を呼ぶ声だけが響いていた…。








目が覚めた。


部屋の中は明るくて、真夏の太陽の光が部屋中の空気を熱気に変えている。


…朝?

ゆっくりと指を動かしてみる…動く。

身体を起こした。
背中にじっとりと汗が流れていく。

妙な現実感と昨夜の非現実感…二つが交差する意識。

安田…そうだ!安田?!

慌てて部屋を見渡した。

安田…居ない…。
戻ってない?


昨夜の…あれは夢だったのか?


だよな?安田が俺を殺そうとする訳ねぇ。
悪い夢を見たんだ、俺。
安田が戻らないせいか?
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