俺と葉月の四十九日

周りを気にしつつ小声で話す。


｢おい、安田｣
｢なぁにぃ？｣
｢今日でお前が死んで一週間らしいぞ？つー事は、初七日なんじゃね？｣
｢何ソレ？｣


他人事の返答だ！


知らねぇの？！
四十九日は知ってるくせに？！

つーか、俺も意味は知らねぇけどさ。


｢今日くらい家に行って来いよ｣

自分の行事だろ？

う〜ん…と安田は考えてる。
考える事？


｢じゃあ、思い切って行っちゃおっかな！｣

何？…その…ちょっと高い電化製品を買う主婦の様なノリ…。


｢って言うかぁ、圭ちゃん彼女と別れてたんだぁ？知らなかったぁ｣

話飛ぶな？つか村上との話、聞こえてたのかよ。


｢何で別れたの？｣
｢別に、何となくだよ｣
｢ふぅん｣

安田は、窓のふちに頬杖をついた。


｢圭ちゃんって、いっつもそう。前の彼女との理由も同じじゃなかった？｣

は？何が？


｢仕方ねぇだろ、とりつくろって何か変わんのか｣
｢何となくって理由になるの？何ソレ？すっごいあいまい〜｣

安田は俺を見ないまま、話を続ける。

｢あいまいって、それこそ何だよ｣

苦笑した。
訳わかんねぇし。

大体何怒ってんの？こいつ。

関係ねぇじゃん。