俺と葉月の四十九日
何て夢見てんだ?俺は。
安田が俺を殺す夢なんて。

思わず笑った。


馬鹿みてぇ…。


そんなに安田が戻らない事が気掛かりだったんだ。

気まぐれな安田の事だ、ひょっこり戻るに決まってるだろ。
風呂にも入らねぇで寝ちまうから、変な夢見ちまうんだよ。


時計を見た。
時間は9時か。


バイトは昼からだから、今の内に風呂入るか。
汗でベタベタして気持ち悪ぃし。


だるい身体をベッドから降ろし、風呂に向かう。

何か身体が重いんだよなぁ。
マジで疲れてんのかな?




…あれ?



脱衣所で服を脱ごうとした俺は、洗面台の鏡に映る自分の姿に異変を感じた。


途中で脱ぐのを止め、鏡ヘと顔を近付ける。



「……何…だ?」



これ…何?まさか…マジかよ…。




冷や汗が背中を流れ落ちる。


俺は手を上げ、ゆっくりと指で首をなぞる。



「嘘だろ?」




それを確認した俺は、昨夜の夢が現実であった事を知った。





なぜなら、俺の首にはくっきりと、細い指の痕が…青くアザになって残っていたんだから。
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