俺と葉月の四十九日
食べているパフェのスプーンを置き、悩む様に考え込んでいる。

…ヤバイのか?


「何かわかるか?」
「……………」


ブル田は無言だ。
すげぇ気になる。
沈黙されるとよけいに!


「…良かったな」
「へ?」


数秒後、ブル田は考え込んでいた顔を上げた。
口の周りが生クリームだらけ…。


「安田サンと圭介が犠牲にならずに済んだ」

「安田も?」


犠牲にならずに?


「安田サンが圭介を殺してしまっていたら、安田サンは自分では成仏できなくなる。悪霊、魔物になってしまう」

「悪霊?!」

「人の命を奪う行為は極悪だ。この世でそれを許されている者は誰ひとりとして存在しない。それを犯した場合、自分の力では成仏できん。能力者の助力や誘導無しでは無理だ。あの世での修行も辛いものになる。不浄も多い。犯した時点で魂が汚れてしまうからだ」


そうなんだ…。


「じゃあ俺が殺されてたら、安田はフツウに四十九日には昇天できなくなる所だったのか」
「そういう事だ。だが…」

だが?


「安田サンが圭介の首を絞めたのかは…まぁ、納得だが」

納得かよ?!

「何が突然、安田サンをその様な行為に走らせたのかがわからん」
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