俺と葉月の四十九日
気を取り直して線香を手に取る。


…あれ?


ろうそくの隣、安田が使っていた携帯が置いてある。

派手にデコレーションされたキラキラの携帯。
裏には安田のイニシャル入り。
電池も充電されてる。


「おばさん、これって?」

俺は、続き隣のリビングでお茶を用意しているおばさんを振り返った。
何?と、おばさんが俺の隣に座る。

「安田の携帯。まだつながってるの?」
「それ?」

おばさんは笑い、携帯を手に取った。

「葉月が毎日使っていた物だから、四十九日までは使える様にしておきたいの。未だに友達からメールが入るみたい。…この携帯が鳴るたびに安心するって言うか…ね」

愛おしく携帯を撫でるおばさん。

「それにね、たまに携帯のメール欄を開いた形跡があったり、置き場所が移動してたりするの。不思議でしょ?私とお父さんは葉月じゃないかって思ってるんだけど」

安田が…見てる?


「それホント?!」

安田が携帯を見てる…って事は、ここに来てるって事だよな?!

「最近っていつ携帯動いた?」
「え?…二日前くらいかしら」
二日前…安田が消えてからだ!

安田はここに来てるんだ!
携帯をチェックしてたんだ!
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