俺と葉月の四十九日
安田葉月の将来の夢は?


「…………」


それを見た俺は言葉を失った。


…何?

こんなの予想外だ…マジであいつが書いたの?

あいつの夢って、石油王とか玉の輿とか、そういうのじゃ…。

呆然と文集を見つめる俺に、おばさんは笑いかけた。

「葉月にしては女の子らしい夢だと思わない?」



…安田の将来の夢。


“圭ちゃんのお嫁さん”



笑えねぇ…こんなの、俺は笑えねぇよ。

何期待裏切ってくれてんの?あいつ……。


だから俺に隠したのか?
恥ずかしいから?
でもガキの頃の夢だし…フツウに話せてもいいだろ?


驚いた、驚いたけど…何も隠す必要は…。


つか!何で俺照れてんの?!
顔が熱くなってきてんだけど!


何だよ!石油王って書けって!!そうしたら笑えたのによ!
笑いとっとけっての!安田らしくねぇって!


「葉月は本当に圭ちゃんを信頼してた。事故の前日もね、圭ちゃんの話になって…」

俺の話?


「隠れんぼの時、葉月が物置に閉じ込められた事あったでしょ?葉月、圭ちゃんなら必ず見つけてくれるって信じてたって」


安田が……そんな事?


俺なら、必ず見つけてくれる?
< 149 / 267 >

この作品をシェア

pagetop