俺と葉月の四十九日
安田は俺に向かって、思いきりベェ――!と舌を出した。
次の瞬間、ひょいと窓を飛び越える。


「っあ?!」


慌てて窓から上半身を乗り出し、三階下の地面を見下ろした。


消えてる…。


そりゃユーレイだもんな、消えるよな。


俺も何ムキになってんだ、安田につられて。


大体さ、ぶわぁ〜かって、あっかんべ〜ってどうよ?どっちがガキなんだよ。
昔から変わらねぇな、ああいうトコ。


「ったく…何だっつーの」

思わずため息が出た。

イライラする。
あいつにあんな事を言われたのが。


悩め?考えろ?本音?
本音って何?
わかんねぇよ。

俺が女と別れようが、あいつには関係ねぇし、あいつだって男いたじゃねぇか。
俺はあいつに、ソレをごちゃごちゃ言った事ねぇよ。


幼なじみったって、幼なじみだから突っ込まれたくねぇ事もあんだよ。
悩んで考えて、変わる事もあるかもしんねぇけど、変わらねぇ事もあんだろ。

俺が悩んで考えれば、安田、お前は生き返んのか?


そんなの有り得ねぇし、絶対無理だ。


本音言って、自分傷付いて相手傷付けて…そういう事もあんだよ。


分かってねぇのはどっちだ。
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