俺と葉月の四十九日
「………」



……見つけなきゃ。


隠れてる安田を…俺が見つけなきゃ…。


やっぱ待ってるんだ。
あいつ、俺が見つけるのを待ってるんだ。


「…ありがと、おばさん」
「え?」

不思議顔のおばさんを見て、笑った。
大事な事に気付かせてくれて。


すっきりした。
ものすごく頭の中が鮮明だ。


首を絞められた時に俺が思った事、安田に会って確認したいと思ってた。


するまでもない…。

ちゃんと気付けた。


安田の存在は俺にとっては日常だった。
不自然に感じた事はない。

安田に振り回されていた事も、振り回されてたんじゃない、俺がしてやりたかったから付き合っていたんだ。


わがまま、自分勝手、強引…上げたらキリが無い安田の欠点。
違う、欠点じゃない。安田の一部。


うるさくて騒がしくて、でも居ないと落ち着かない…それも分かった。

落ち着かないのは…安田にそばに居てほしかったから。


マオちゃんが言っていた“特別”って意味…。


安田が特別である事に理屈は無かったんだ。


理屈で区別できる存在じゃないんだ。


安田葉月という存在は…複雑な様で簡単だったと俺は気付けた。
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