俺と葉月の四十九日
俺は、そういう身勝手な事を考えちまう。

今の安田にとっての最良は、四十九日には昇天してあの世へ行く事。
安田自身もそれは理解している。


だから、隠す。

言わない…好きだとは言わない。

もしも伝えたら、安田…お前はどんな顔をする?

笑うか?驚くか?

それが怖い自分もいる。


そういや安田に言われた事あったな。
国立と別れた事で、たまには自分の本音とぶつかって悩めって。
今の俺がまさにそれだ。


苦しいんだな…本音って。

でも、その本音に気付いた上で隠し通すってのもキツイんだぞ?

分かってんの?


本音は必ずしも伝える事だけが正しい訳じゃねぇ、あえて言わない方がいいってケースもあるんだって事。

…強がりかもしれねぇけど。

だってさ…安田がいなくても、毎日は過ぎていくんだ。

朝がきて夜がきて…。

生きてる俺は、腹も空くし眠くもなる。
バイトに行って仕事して、友達とメールもやって…安田を捜し回れば疲れも出る。


そんな当たり前の事が、ユーレイになった安田と俺との決定的な違いなんだと思い知らされる。

ホントに…何で死んだりしたんだよ。

何で安田が死ぬんだよ。
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