俺と葉月の四十九日
携帯をジーンズのポケットに押し込み、俺は歩き出した。

毎日のバイト帰り、安田を捜すのが習慣になっていた。


昨日は駅前。
あいつはよく、ストリートライヴを見に行ってたし。

今日は…家の近所でも捜してみるか。


ブル田は、近所の公園にも安田の念が残ってるって言ってた。

ガキの頃、よく安田と遊んでいた近所の公園。
安田はジャングルジムが好きだったんだ。


高校に行ってからも、あいつはたまに登ってた。


バイト帰りに公園の前を通ると、安田は缶ジュース片手に星を見てたりしてた。
俺を見つけて、呼びながら手招きするんだ。


絶対巻き込む為に待ち伏せしてると思うけど、結局いつも付き合ってた。

学校の話、友達の話、部活、バイト…何かたくさん聞かされたんだよなぁ。

必ず最後は、眠いから帰る!じゃあね!だもんな。
ホント勝手だよな、あの女。


ガキの頃の話もしたな。


確か5歳くらいの頃…安田が親に怒られてスネて…夕方になっても帰らないってジャングルジムから降りなかった。

俺はその頃ジムに登れなくて、下から安田に帰ろうと説得してた。

そんな事をしている内に安田は泣き出して…。
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