俺と葉月の四十九日
驚いた俺は、反射的にジムに登ったんだ。

生まれて初めて一人で!

今考えると笑えるよなぁ。俺、安田のおかげで登れる様になったんだもんな。


安田の隣まで登った俺を見てあいつは驚いて、泣くの止まったんだ。
圭ちゃん危ないよって言いながら、でも嬉しそうに…。

俺は安田の手を握りしめて、葉月ちゃん泣かないでってお願いしてたなぁ。

ホント、純粋だったよ。


安田はそういう思い出をよく覚えていた。


「…………あれ」


俺は思い出しながら足を止めた。


そういや…安田、ジャングルジムは初恋の場所だなんて言ってた…。

逆プロポーズした場所だ、って。

へぇ〜って軽く流した俺に、忘れたの?なんてスネて…。


忘れてる?

俺が忘れてる事?

安田の初恋…逆プロポーズ相手…俺も知ってる?
安田が忘れたなんて怒ったんだし。


ちょっと待て…何か大事なキーワードの様な…初恋って忘れられねぇもんだよな?

文集の将来の夢に、圭ちゃんのお嫁さんなんて書いた事、未だに照れて話さねぇくらいなんだしさ。


安田が逆プロポーズした相手って………。


「…………ああっ!!」


思い出したぁっ!!
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