俺と葉月の四十九日
俺へと背を向け、身体を浮かせた安田に向かい叫んだ。


「何で逃げんだよ…何やってんだよ…」
「………何で…圭ちゃん公園なんかに」

背を向けたまま、安田は呟いた。

「いいから、そこ動くんじゃねぇ!」

ジムに手をかけ、俺は登り始める。
動くなと安田に声をかけながら。
やっと見つけたんだ。逃がしてたまるか!

今の俺には低すぎるジムを登り、俺は安田の隣へと到着した。

安田は観念したのか、うつむいたまま再び座る。


俺は空を見上げた。

「星見てたのか?」
「…………」


安田は無言だ。
また膝を抱える。

それでも俺はほっとしていた。
安田が見つかって、今隣にいる。
それだけで安心してた。

捜してた焦りなんて、忘れていた。

安田がいた…この事実だけで全て過ぎた事の様に感じていたからだ。


「お前ここ好きだな?…初恋の場所だっけ」

安田は、微かにうなだれていた頭を上げた。
それから小さく頷いた。


思わず笑う。

あまりにも安田が大人しいから。


「何大人しくしてんだ?一週間ぶりなのにさ!久しぶり〜元気だった?くらい言えよ」

安田はまだ無言だ。


「寒いだろ。独り言にさせる気か」
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