俺と葉月の四十九日
何落ち込んでんだよ。
何か言えよ。

俺はお前が見つかったってだけで、それだけでいい。

何にも気にしてねぇから…。


「…笑えよ、安田」


安田は顔を上げて、驚いた瞳で俺を見た。

「笑う?………」
「ああ、笑えよ」


いつもみたいに笑ってくれ。

そうすりゃ、俺はもっと安心できる…いつもの安田だって安心できるんだ。


ユーレイになったお前を初めて見た時、全然怖くなかったのは…お前がいつもと変わらず笑っていたから。

変わらなかったから、恐怖感はなかったんだ。

どう考えても非日常的な事だったのに受け入れられたのは、お前が楽しそうに笑っていたから。


そんなお前が好きだから…一緒に居た。


今更一人になんてなれねぇよ…四十九日までは、安田が居るって思っちまってんだから。


「………笑えないよ」

安田は呟き、また顔を伏せた。

「何でだよ」
「だって……圭ちゃんの首絞めたから」

ったく!こいつわがままなくせに、こういうトコでイジイジするんだ。

「ごめんね、圭ちゃん…」

安田が謝った。

「何が?」

俺はシラをきった。
別に責める気は全くないし、謝られる事でもないと思ったからだ。
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