俺と葉月の四十九日
安田はキョトンと涙目を見開いた。

この顔!マジで分かってねぇんだ?!


「馬鹿じゃねぇの?!」
「……馬鹿だよ」


安田はまたうつむいた。


「認めてんじゃねぇよ!」
「だって馬鹿だもん!圭ちゃんを殺そうとしちゃったんだよ?!」
「だから何なんだよ!そんなのどうてもいいっての!」


ムカつく!マジでムカつく!


こいつ、俺がマジでお前を忘れると思ってんのかよ?!

いつか忘れるって…生きてるから忘れるなんてねぇよ!


死んで悔やむお前をどうにかしたくてもできない、俺だって悔しいんだよ!

生き返らせる事ができねぇ…これからお前が居ない毎日を過ごさなきゃならねぇ…悲しいに決まってんだろ!


こんな悲しい事…お前の事…忘れられる勇気も力もねぇよ!


俺だって弱いんだよ!
泣きてぇよ!


死んだお前だけが辛いんじゃねぇ…生きてく方も辛いんだ…お前が死んだ事実を受け入れて…会えないこれからを堪えて…それでも生きなきゃならねぇんだよ!


でもな、どんなに辛かろうが…お前だけは忘れたくねぇんだよ…。

忘れられる訳ねぇだろ!!

自分だけが辛いなんて言い方すんじゃねぇよ!!
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