俺と葉月の四十九日
「止めろ、ブル田をあおるな」
盛り上がったら収集つかなくなる。


戻って来た安田は、いつも通りに復活していた。
昨夜泣いて、すっきりしたんだろうか。


怖いと泣いた安田…何もできない俺…。


それでも安田は、ここに戻りたいと言った。
泣き顔のまま笑って、また遊んでくれる?って言ったんだ。


安田が昇天するまで…残り16日。

それまで、俺が安田にしてやれる事は何だろう。
安田が望む事は何だろう。

安田が昇天しなければいけない宿命は変わらない…変える事はできないし、止める事もできない。

切ない…俺は安田を見送る事しかできない。
分かっているからこそ、悔しい。

何もできない自分がだ。

それでも俺は、安田が好きだ。

安田はどう思っているかは知らない。でも、そんな事はどうでもいい。

安田が、最後の瞬間まで笑っていてくれるなら、それだけでいいって思ったんだ。

俺の気持ちは、今の安田には重い…俺にとっても…お互いに重くて、身動きが取れなくなる。

いつも通りの日常を、笑顔を安田が得る為には、気持ちを隠し通すのが1番なんだ。

このまま安田が安らかに昇天する為には、それしかない。
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