俺と葉月の四十九日
安田の為に…考えれば考える程、自分の無力さを思い知る。

幼なじみとして、男として…安田を好きな一人の男として…してやれる事に限りが有りすぎる。

生きている頃に気持ちに気付いていたなら、何でもしてやれた。

今は…安田が近いのに遠い、遠すぎる…。

俺ってホント、間が悪い。

…悩んで考えても仕方ない。
俺は、俺にしてやれる事で安田を笑わせてやる。
安らかに昇天させてやる。
そう決めた。


「安田」

俺は、ブル田をからかっている安田に声を掛けた。

「何?」
「今日バイト休みだし、ホラ…お前が観たいって言ってた映画あるだろ?」
「連れて行ってくれるの?」


期待に満ちた安田の笑顔。
嬉しそうだな?ホントわかりやすい女。

思わず笑った。

「ああ、行こうか」
「僕も行くぞ!」

ブル田もかっ!

「映画と言えば、今、アニメが…」
「観ねぇよ!アニメは!」

アニメ観たいなら一人で行け!


「何?!映画を観た者には先着でミニチュアフィギュアキーホルダーが貰えるぞ?!」
「マジいらねぇ〜…」
「後悔するぞ?!」

しねぇって。
後悔ならブル田一人でしろ。


「私が観たい映画はアニメじゃないよ、ブル田」
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