俺と葉月の四十九日
安田の一言に、ブル田は首を傾げて瞳を見開く。

「そうなんですか?!」

…何で驚いてんだ、こいつ。
アニメしか観ないの?


「うん、アニメじゃない。アニメ観たいならブル田だけ別行動してもいいよ?」

そうだ!もっと言ってやれ!

安田の言葉に、ブル田はスネた様に唇をとがらせつつ激しく首を振った。

振りすぎじゃね?ムチウチになるぞ?


眉をひそめ、苦湯を飲むかの様な表情のブル田…目ぇ潤んでね?
そんなに観たいのかよ。


「…安田サンと離れるくらいならアニメは諦めます」


何ソレ?!やけにアッサリ!!
俺には後悔するぞ!何て言ったくせに!


まぁ…俺と安田に対する態度の違いは、今に始まった事じゃねぇけど。

もう慣れた。


「そうと決まれば早速映画館に…」
「早ぇよっ!」

自分がどんだけ早く俺んちに来たのか考えろ!








映画館は夏休みと言っても平日だからか、案外混んではいなかった。


「安田サン、チケット買って来ましたぁ」

チケットを手に、嬉しそうに走って来るブル田。
着ている服は今日は普通。
普通のTシャツにジーンズ。

なぜなら、俺が小学生の頃に着ていた服だから。
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