俺と葉月の四十九日
生きるって結構しんどいものなのかもな。
悲しみを乗り越えて、何て言うけど、そんな簡単に乗り越えられる事なんてねぇよ。

だからしんどいんだろう。

良い事もあれば悪い事もある、当たり前。
けど、安田が居ない世界で良い事を見つけられるか?今の俺に。


生きている俺がそんな事を言ったら、安田は怒るだろう。


安田の後を追って死のうなんて考えてはいないけど、…自分が空っぽになりそうな恐怖感はある。
安田の存在が大きかった事を思い知らされそう。


そういやブル田が言ってたな、別れにも意味があり、それは必然だって。

俺は、安田との別れの意味を探す事ができるか?

自信がねぇ…苦しい悲しいで終わっちまいそう。
死んだ安田の気持ちを考えると、口には出せねぇけど。


ため息がもれた。

俺、こんなに悩むタイプだとは思わなかった。


「どしたの?圭ちゃん」
「うわっ!」

うなだれる俺の目に、突然安田の顔が映った。
眉をひそめて見つめる安田。


「…何でもねぇ」
言えねぇよ。

「何でもないのかぁ〜」

俺の返答に安田は、ふぅんと軽くうなづいた。


…こいつが突っ込んで聞いてこない奴で良かった。
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