俺と葉月の四十九日
手を繋いで歩く俺達の後ろで、フィナーレの打ち上げ花火が上がった。

夜空に広がる光の大輪…。


“綺麗ね”


花火を見上げる安田。
光が白い肌に反射して…。


「花火を見ながらあの時圭ちゃん、何て言ったか覚えてる?」

ポスターから視線を俺に向け、ユーレイになった高校生の安田は笑う。


「葉月ちゃんの方が綺麗って言ったんだよ?」
「…知らねぇ、覚えてねぇ」

安田から視線をそらした。


「なぁんだ、覚えてないの?」
安田は残念そうに頬をふくらませた。


…ホントは、はっきりと覚えてる。


安田に言った臭いセリフも、綺麗だと思った事も。
ガキだったから素直に言えた。

今は…。


「ホント、懐かしい」
ポスターを見つめる安田。


「…行くか?」
「え?」
「バイトだから夕方からになっちまうけど」

「ホント?!圭ちゃん!」


身体ごと振り向き、安田は嬉しそうに笑った。
その満面の笑顔につられて、俺も笑う。

「ああ、ホント」

俺も久しぶりに行ってみたいしな、安田と。



久しぶりの今年が、最後になる…。


最後…。


安田と一緒に居れる期限は、望んでいなくても確実に迫ってきてる。
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