俺と葉月の四十九日
灯籠流し
盆踊り当日。

夕方5時にバイトを上がった俺は、安田と共に盆踊り会場へと向かった。


会場は市民グラウンド。
すでに人は多く、かなり賑わっていた。

祭囃子と太鼓の音が響く中、ブル田との待ち合わせ場所へと向かう。

俺と安田に残された時間がわずかなら、安田を好きなブル田にとっても同じ事だ。
そう思った俺は、できる限りブル田も誘う事に決めた。


「安田サァァン!」


待ち合わせ場所に立つブル田は、俺と安田を見つけた途端、人目もはばからず手を振る。

綿飴食ってるし。

服装は…。


「…仁平?」
「作業衣(さむえ)だ、馬鹿者」

会った途端に馬鹿呼ばわり!


ブル田の服は、男児用簡易浴衣っぽい服。
絣模様の生地、着物みたいに合わせ襟を紐で縛って着るタイプ。

「盆は忙しいからな。寺を手伝う時の服だ」
言われてみれば…坊さんの日常着っぽい。

安田は爆笑。
「あはは!似合う〜!仁平みたいっ!」
「そうですかぁ?」

照れるブル田。

いいなぁ?安田。
馬鹿呼ばわりされなくて。


「安田サン!どこを周りましょう?」

早速俺は無視か。

「私クレープ食べたい」
「ご案内致します!」

ガイド気取り?
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