俺と葉月の四十九日
わからない…けど、生きていたら何でもしてやれた。

同じ世界に生きていたなら、何でもしてやりたかった。

俺は頼りないかもしれねぇけど、手が届く事ならしてやれた。


…安田が、俺にとって何でも良かった。


幼なじみでも同級生でも、何でも良かった。
ただ生きてさえいてくれれば、ユーレイでなければ何でも良かった。

生きてさえいてくれたなら、俺はフラれても良かったんだ。


ブル田とクレープを頬張る安田。
お前が生きてさえいてくれたら。

なぁ、安田…。






灯籠流しの時間になり、俺と安田は川へと移動した。

ブル田は、出店のクジでフィギュアを当てると言い、聞き分けが無いから置いて来た。

帰りにでも迎えに行けばいい。

川にはすでに人が集まり、ろうそくの光を乗せた灯籠が川の流れに揺られていた。

暗い川、その中を流れて行く小さな光達…人の魂は、こうして流れてあの世に帰って行くんだ。

あの世に帰る…帰るって何だろう。

今生きている俺が帰る所は家なのに、死んだらあの世になる。


安田もそうなるのか?

来年の盆には、安田の灯籠も流されるんだろうか。


「みんな帰るんだね…」
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