俺と葉月の四十九日
声を上げた安田が空を指差した。

見上げると、フィナーレの花火が上がった所だった。色とりどりの光が、夜空を照らす。


「大きいねぇ」

夜空を見上げ、安田は呟く。


少し透けた身体に花火の光が反射して、それがあまりに儚く見えて…花火の様に儚くて…消えてしまうんじゃないか。


俺は、安田に手を伸ばしていた。
気付いたのか、安田が顔を向けた。


「何?」
「…何でもない」

伸ばした手を引いた。


何それ?と安田は笑い、また空を見上げる。

「花火、綺麗だね」

安田の方が綺麗…そんな臭いセリフが浮かんで思わず笑う。


ガキの頃は言えたのに。


今は、花火を見上げる安田が儚くて、花火みてぇに消えちまいそうな気がして、目を離せねぇ。


せめて手を繋げたなら確かめていられる。


そんな心境で安田を見つめる中、安田は小さく笑い出した。


「私、今…思って笑っちゃった!」
「何?」

聞き返した俺に、安田はまた笑う。
笑いながら、手を見つめている。


「繋げたら…」


繋ぐ?


「圭ちゃんと手を繋げたらな…子供の頃みたいに」


…安田。

俺と同じ事…。


「無理か、私ユーレイだしね」
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