俺と葉月の四十九日
馬鹿な事言ったねと、安田は照れながら笑う。


…馬鹿じゃねぇよ。

俺も繋ぎたいと思った。


ガキの頃みてぇにじゃなく…男として…。


手を繋ぐ…それだけでもできる可能性があるなら、安田がそうしたいなら。


「…鍛練してみるか」
「えっ?!その辺の浮遊霊で?」

何でだっ!


「浮遊霊じゃなくて、お前と繋ぐ鍛練すればいいんじゃね?」
「あ、そっか!」

そっか!って…ホントボケてる、こいつ。


「じゃあ圭ちゃん、早速始めるよ!」

力強く言い、安田は俺の前に手の平を差し出してきた。

「まずは触る練習からね?」


何で安田が気合い入れてんの?
むしろ俺だろ?


安田の手を見つめながら、ブル田の言葉を思い出す。


物体からの感触に捕われず、心と魂の感覚で…触る。

目を閉じ、安田の手に集中する俺。深呼吸をし、ゆっくりと手を降ろしてみた。


伝わったのは、ひやりとした冷気が通過する感触。


「やっぱ急には無理かぁ」


残念そうな安田。
俺はため息…。

ブル田は簡単そうに触ってたんだけどな。
霊感ないと難しいのか?


「もう一回チャレンジ!」
両手を広げる安田。
やる気満々だな?
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