俺と葉月の四十九日
ブル田は…居ない。

居たのは、初対面の知らない男。

長めの茶髪、目つきは悪いが大きな瞳…整った顔立ちのホストばりの美形だ!

美形は、ブル田の部屋の床に転がってドラゴンボールを読んでいる。
俺を睨む様に見つめ、美形はゆっくりと起き上がった。

「誰だ?おめぇ」
うわ…口悪ぃ。

美形の声は、チンピラみたいな巻き舌口調だった。

「え――…と」

…そっちこそ誰ですか?

でも部屋に居るって事は…ブル田の知り合い?だよな?

「ブル田は―…」
「ブル田?ああ、リョウの事か」

リョウ?
あ…ブル田の名前は竜馬だ。
忘れてた。

「リョウは居ねぇぞ」
美形はそう言い、あぐらをかいた。

「居ない?」
「バイトだ。デパート屋上でヒーローショー…着ぐるみん中だ」

ヒーロー…ある意味納得!

「バイトから帰ると、あいつカビ臭ぇし。最悪」
美形は舌打ちしながら、かったるそうに茶髪を掻いた。

カビ臭いって、あの牛乳拭いた雑巾みたいな臭いの事だろうな。

ってか、この美形は誰なんだ。
口悪いしガラ悪いし…さっきからブル田に詳しいみてぇだけど?

年齢は俺より上か?
大学生くらいに見えるが。


…聞いてみる?
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