俺と葉月の四十九日
「あの、あなた様は…?」

俺の問いに、美形は顔をしかめた。
睨み上げる様に俺を見る。

「人に名前聞く時はよ、自分から名乗るのが筋だろ」

怖っ!!すげぇ迫力!!
むちゃくちゃドス効いた口調…そのスジの人?


思わず正座をしてしまう俺。

「…三谷っす」
「三谷?三谷…何?」
「三谷圭介っす」

ああ、と美形はうなづいた。
「リョウが最近つるんでるダチか」

つるんでる…のか?俺。
でも突っ込むの怖ぇ!

美形は眉間にシワを寄せつつ、俺の後方に視線を移動した。

「そっちのねぇちゃんは?」

ねぇちゃん?


疑問顔の俺に、美形はゆったりと安田を指差す。

「いるじゃねぇか、ユーレイのねぇちゃん」
「――!?!」


見えてる?!マジでっ?!
何者だ?!
この美形…。


「お茶とお菓子持って来たよ」
トレイを持ってドアから顔を出したのはマオちゃんだった。

「気が利くな、マオ」
マオ?呼び捨て?

マオちゃんは苦笑いをしながら、テーブルにコーヒーと煎餅を並べ始めた。

「もう、竜馬お兄ちゃんの部屋でくつろぐの止めたら?」
「うるせぇ」
美形は舌打ちをしてる。

「とっとと茶ぁ置いて出てけよ」

態度でけぇ。
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