俺と葉月の四十九日
ポツンとした安田の返答に、聖矢さんは笑った。
笑うとブル田に少し似てる。


「葉月ちゃんかぁ、好みかもしれねぇ」

誰の?!


「生きてたら俺の嫁にしたのによ」

やっぱりあなたの好み?!
ブル田と同じじゃねぇか!


「まぁ、茶ぁでも飲めよ。オラ!少年も」
「…三谷っす」
「おう、三谷少年」

少年…って。


笑いながらテーブルを指で叩く…茶を急かす聖矢さんに従い、とりあえずカップを持つ。

この人には逆らえねぇ。


「で、何の用で来たんだ?」
コーヒーを湯呑みで飲みながら、聖矢さんは煎餅に手を伸ばした。

「いや…それは…」

ブル田に用なんすけど。


俺は聖矢さんから視線をそらし、彼が持つ湯呑みを見つめる…何で湯呑みの文字がゴダイゴなんだ…。


「ま、聞かなくてもわかるが」
聖矢さんは湯呑みをテーブルに置き、煎餅の袋を破きながら言った。

「葉月ちゃんの事だろ?」
「?!」

わかるの?!


聖矢さんは、俺の隣に座る安田を睨む様に凝視している。
何なんすか?


「交通事故か…昇天まであと〜…7日くれぇか」

ッ?すげぇっ!!
当てた!!本物だっ!!

「安田の足!消えかかってんすよっ!」
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