俺と葉月の四十九日
それは俺も疑問だ…。

だって…安田は何も悪ぃ事なんかしてねぇんだ。
ただ毎日、楽しいって笑っていただけなんだ。


世の中悪ぃ奴はたくさんいる。


なのに何で安田だったのか。


俺と安田の視線の中、聖矢さんは煎餅のかけらを口に放り込んだ。
手に付いた煎餅のカスを払いながら言う。


「それが葉月ちゃんの宿命だからだ」

宿命!また宿命かよ!


「納得できねっすよ!」
「納得なんざ求めんじゃねぇ。悟るんだよ」
「でも!こんなの平等じゃないっすよ!」
「平等だ。不平等だと考えちまうのは、心が成長してねぇからだ」


心の成長…?


「人間は平等なんだよ、平等の元に生まれんだ。例外で特別なんてねぇ。同様に、本当の不幸もねぇ」


不幸は無いって…。


「安田が死んだのは不幸じゃねぇのかよっ!」
「じゃあ聞くがよ?長生きすりゃ幸せなのか?」

「…それは」
「見ろ、答えられねぇだろうが」
「わかんねぇよ!俺はたかが17年生きてるだけだし!」

「甘ったれてんじゃねぇよ」


吐き捨てる様に言い、聖矢さんはコーヒーをすすった。


何なんだよ…。


「…なら聖矢さんは、幸せと不幸がわかるって言うんっすか?」
< 208 / 267 >

この作品をシェア

pagetop