俺と葉月の四十九日
「耳の穴かっぼじって聞きやがれ、M少年?」

今更疑問詞…。


「人の生死は長い短いじゃねぇ、いい経験をして楽しんで、泣いて笑って…充実してたと思えたら、それが最高の人生なんじゃねぇか?」

「…中身があるって事すか」


そうだとうなづき、聖矢さんは二枚目の煎餅にかじりついた。


「だがまぁ…葉月ちゃんの死はみんなにゃあ痛ぇだろ。悲しいだろ。葉月ちゃんは、なぜ自分が死んだのか…そう聞いたな?」

安田はこくんと首をもたげた。


「そこに意味があるからだ。意味があるから、死ぬ事生きる事、すべて学ぶべき修行なんだ」

「ブル田も言ってました。必然なんだって」
「だろ?葉月ちゃんの死は必然なんだ。葉月ちゃんだけじゃねぇ、葉月ちゃんの死を受け入れる側にとってこそ必然なんだ」


ドキリとした。

安田の死を受け入れる側…俺も含まれてるんだ。


でも、必然だからって簡単に受け入れられねぇよ。
何でだよって思っちまう。

何でそんな簡単に必然だって言えるのかわかんねぇし、理解できねぇ。

悲しい、切ない、怖い…それだけだ。

そう思う事しかできねぇ自分にもムカつくんだ。


死って…割り切れねぇだろ。
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